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映画/Movie

 

ジャンゴ 繋がれざる者

1992年『レザボア・ドックス』の衝撃から20年。タランティーノが初めて挑む時代劇はマカロニ・ウエスタン!! 1992年『レザボア・ドックス』の衝撃から20年。
タランティーノが初めて挑む時代劇はマカロニ・ウエスタン!!


クエンティン・タランティーノ、1992年に自らの脚本による初監督作品『レザボア・ドックス』を世に放ち(日本公開:1993年4月)、粗野で下品で差別用語連発の脚本とかつてないほどの過激な暴力描写で良識派の映画人を恐慌に陥れ、その一方、緻密なプロット、リアルとマンガのぎりぎりのラインで描かれるバイオレンス、人間の常識的感性を突くユーモアの絶妙なブレンドは、世界中の映画ファンを熱狂させた。その結果ヨーロッパをはじめとした世界中の批評家から高い評価を得、一躍時代の寵児となった男。

あれから20年-、溢れんばかりの才能ながらその間の監督作は7本(オムニバス『フォー・ルームス』の一話を入れると8本)という寡作のタランティーノが8本目に選んだ題材は、南北戦争勃発の約2年前、リンカーン奴隷解放宣言の5年前の1858年アメリカ南部を舞台にした西部劇。ジャンル映画にこだわってきたタランティーノだからこそ、20年目の作品をして究極のジャンル映画“ マカロニ・ウエスタン” の枠組みを選んだのは当然といえるかもしれない。

主役はクリーンな正義漢ではなくアウトロー、残虐性の高いバイオレンス、悪を持って悪を制す毒のある闘い、乾いた空気感など、ジャンル映画ならではの“お約束”を踏まえながらも、そこはタランティーノ、主役は奴隷からガンマンになったジャンゴ、その相棒は元歯科医でドイツ人の賞金稼ぎシュルツ、二人が狙うのは、奴隷デスマッチ観戦が趣味でフランスかぶれの領主キャンディ。この振り切ったキャラクター設定で描くのは、タランティーノにしては珍しいアメリカ大自然の一大ロケーションをバックに、妻を奪われた元黒人奴隷が彼女を取り戻す、ただそれだけのために白人の権力者に挑むという痛快な復讐劇であるとともに、ピュアなラブ・ストーリー。
まさに、これぞ究極のタランティーノ映画!と言える、一筋縄ではいかないクロス・ジャンル映画がここに登場した。


ストーリー ストーリー

1858年ここはテキサスの北部。足かせに繋がれた5人の黒人奴隷が黙々と歩いている。素足で歩く上半身裸の奴隷たちを、馬に乗った2人の奴隷商人が急きたてている。5人の奴隷たちはミシシッピー州グリーンビルの奴隷市場から数日前に買われてきた。奴隷たちが漆黒の闇の中を歩いているある夜。彼らの行く手を黒い馬に乗った白人の男が阻む。ロング・コートに三つ揃いのビジネス・スーツ、そして山高帽のその男は、歯医者のキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)と名乗り、奴隷たちに礼儀正しく挨拶をし、彼らの中にカルーカン農場にいた者がいるかを尋ねる。名乗りを上げたのはジャンゴ(ジェイミー・フォックス)。彼は、カルーカン農場で監督官だったブリトル3兄弟に妻を奪われ、彼女と別々に奴隷市場からこうして売られてきたのだった。

奴隷に丁寧な言葉で接するシュルツに敵意を見せる奴隷商人の一人をシュルツはあっさり殺し、改めてジャンゴに「ブリトル3兄弟の顔が分かるか」と聞き「必ず見分けられる」と答えるジャンゴを馬に乗せ、残りの奴隷たちの足かせもはずしてやる。
ジャンゴは、シュルツに言われるまま、西部の町ドートリーの大通りを馬に乗って通り抜ける。黒人が白人と同じように馬に乗っている!2人には、町の人々の恐れとも怒りともつかない視線が浴びせられる。奴隷が酒場に入ることは許されていないが、シュルツは気にせず酒場に入っていく。そこで、シュルツは歯科医から賞金稼ぎに最近転職したドイツ人で、ジャンゴを手に入れたのは、高額な懸賞金を掛けられたブリトル兄弟を追っているのだが、彼らの顔を見たことがないので、その手助けのためだと明かす。

シュルツがそこまで話したところで、保安官が登場し町から退去しろと命令する。シュルツは握手をするように片手を保安官に差し出し、その手に握ったピストルで彼の腹を撃ち、町の人々に「連邦保安官を呼びに行け」と言い放つ。やがて、酒場は連邦保安官が率いる武装警官たちに包囲される。武器を捨てて出てこいと命じられたシュルツは、殺した保安官の正体は3年前から追われているお尋ね者だったことを明かし、悠々と町を出る。

ブリトル3兄弟がいま監督官を務めているというガトリンバーグの農園を目指す途中の田舎道近くでたき火を囲んでシュルツが、「ブリトル3兄弟を仕留めて自由を手にしたら、その先はどうするつもりか」とジャンゴに尋ねる。「妻を探し出す」と即答するジャンゴ。ジャンゴと妻のブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)は別々に奴隷市場で売られたので、彼女の居場所を知らないという。話を聞いたシュルツは、「彼女の“ 所有者” はドイツ人だったのではないか」と問う。


シュルツが指摘した通り、ブルームヒルダはドイツ人の女主人のもとで育てられ、ドイツ語で主人の話し相手になっていたという。何年もドイツ語を話していないというシュルツは、彼女に会ってみたくなる。


●監督:クエンティン・タランティーノ
●出演:ジェイミー・フォックス/クリストフ・ヴァルツ/レオナルド・ディカプリオ
サミュエル・L・ジャクソン/ケリー・ワシントン/ドン・ジョンソン ほか


配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2013年3月1日(金)より丸の内ピカデリー他全国ロードショー!