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お出かけ/Outdoor

 

心温まる影絵の森美術館

柔らかな光で
彩られた影絵に心温まる
影絵の森美術館


まだ少し肌寒さが残るものの、谷間に差し込む日差しがぽかぽかと心地良い2月下旬の昇仙峡。甲府駅からおよそ40分、バスも通ることから気軽に行くことのできる山梨が誇る観光スポットです。 秋の紅葉シーズンが最も賑う昇仙峡ですが、冬の澄んだ空気に映える渓谷や抜けの良い空も魅力的。混雑なくゆったりとドライブを楽しむことができる好シーズンでもあります。そんな渓谷美を横目に峠道を走ること15分ほど、少し開けた先に昇仙峡影絵の森美術館はありました。 1992年に開設されたこの美術館は、世界的影絵の巨匠「藤城清治」が手掛けた影絵作品を中心に影絵や切り絵などが多数展示されています。その作品の数や展示の美しさは世界一の影絵美術館としてギネスブックに認定されるほど。


地下の暗闇に広がる
幻想世界に 夢うつつ


展示場は自然光を遮るために地下に設けられ、階段を降りていくと真っ暗な入り口が見えてきます。ここで3秒ほどの間目を閉じると暗さに目を慣らすことができ、鑑賞しやすくなります。 暗闇の先から優しい光で導いてくれる色彩豊かに輝く影絵達。幻想的な音楽とともに、まるで暗闇に浮かぶように並ぶ作品はどれもファンタジックでストーリー性に富み、まるで物語の中に迷い込んだような感覚に誘われます。 これらの影絵は木枠にトレーシングペーパーを貼ったものをベースに、その裏表に様々な紙やセロハンなどのフィルターを数枚から数十枚切り抜いて貼り重ねて作られています。 幾重にも重ね合わされた色彩のトンネルを光が通過していくことで独特の柔らかみのあるグラデーションを表現。絵画や印刷には見ることのできない影絵ならではの美しさです。鏡を使って影絵の世界を無限に広げたり、水面に反射させて揺らめかせる儚げでドラマチックな演出に時間を忘れて見とれてしまいそうです。 これらの趣向を凝らした演出も作者「藤城清治」が自ら手掛けたもの。さすが影絵作家は自分の作品がどのように展示されるのが美しいのかまでを緻密に熟慮しているのですね。 またこの美術館に展示されているのは初期の作品が多く、「藤城清治」自身もお気に入りのものがほとんどなのだとか。若かりし頃の情熱によって作り上げられた大きな作品の迫力や、こときめ細やかな細工のひとつひとつまで、あますことなく「藤城清治」の世界を堪能することができます。

ペン画や切り絵を中心とした
企画展も


幻想の世界の先には、「日本のゴッホ」や「裸の大将」で有名な「山下清」のペン画や切り絵を中心とした企画展が広がります。影絵展の幻想的なムードと打って変わってこちらは暖かな照明に囲まれ、エネルギッシュで生命力溢れる力強い作品を鑑賞することができます。 そのほかにも「夢二式美人」で知られる大正浪漫の代表的な画家「竹久夢二」の絵画や「まんが日本昔ばなし」の作画を手掛けた「前田康成」のアニメーション作品、漫才師「内海桂子」によるコミカルでユーモアあふれるどどいつ絵画などバラエティーに富んだ構成が楽しい展示です。


さて、行き着いた先から「お疲れ様でした」という明るい声に導かれて階段を上っていくと、影絵グッズを多数取り揃えるお土産品コーナーへとたどり着きます。明るく広々としたフロアーの1面には、先ほどまで鑑賞してきた作影絵品の数々が所狭しと絵葉書やポスターになって並べられており、ここもまた壮観。影絵の森美術館のあたたかな思い出と共にお気に入りの作品を連れて帰るのも良いでしょう。また影絵グッズだけでなく、山梨の名産や昇仙峡のお土産も取り揃えているので県外へのお土産にもぴったりです。 影絵サロンでは数点の影絵を眺めながら休憩やお食事もできるので、最後に一息ついてゆっくり感想などを語り合ってみてはいかがでしょうか。また入場チケットに付いてくる無料ドリンク券を使えばコーヒーや緑茶、コーラなどのドリンクと可愛らしい影絵イラストがプリントされたおいしい影絵サンドがもらえる嬉しいサービスもあります。


透明な空気を味わいながら楽しむ
絶景の散歩道


影絵の森美術館からの帰路には御岳昇仙峡の滝や奇岩が転々と広がっています。中でも昇仙峡の最北端に位置する「仙娥滝」(せんがたき)は「日本の滝100選」にも選ばれている名瀑で、昇仙峡の一番の見所でもあります。行楽シーズンには行列をなすハイキングコースもこの季節はまばらで、人の波に揉まれることなく自由に散策することができます。落ちてゆく水の音が辺りに響き渡り、日常の喧騒をも流しさってしまうかのよう。そんな癒しとおいしい空気に満ちた散歩道が、冬の昇仙峡にはあります。


釣り人で賑う千代田湖

へら鮒(ブナ)が釣れることからで釣り人で賑う千代田湖。昇仙峡から甲府へ向かって下ること20分ほどの場所にあります。この湖に魚を求めて訪れるのは実は釣り人だけではありません。そこには今日も、かわいい来客の姿が。水面をすべるように泳いでいく鴨の群れです。岸辺が近いので目の前を悠々と鴨が通り過ぎる光景におもわずにっこり。夕日の差し掛かる頃合には、水面がオレンジに染まった対岸を絵画のように映し出してゆらめきます。鴨達が湖のカンバスに描いてゆく軌跡を目に追いながら、旅の余韻に浸る贅沢なひととき。 ぽかぽかと暖かかった日もいよいよ沈みだし鼻にツンとくる寒さに冬を思い出したら、温かい夕食を求めて甲府の街へ。 休日の昇仙峡はそんな優雅な時間の過ごし方を教えてくれます。


山梨県甲府市高成町1035-2
電話 055-287-2511
FAX 055-287-2513
営業時間 9:00~17:00
年中無休
入館料 個人/一般800円 中学生500円 小学生400円 園児200円 団体(20名以上)/700円